大乗経典読誦法要 (Mahayana chanting)
12月14日〜17日の4日間、第1回大乗経典読誦法要(Mahayana chanting)がインドで行われました。
目的は、各地に広まった仏教が第一結集が行われた場所で再度集まり、共に平和を祈る。
また、21世紀の今仏教も国際交流をし、共に学び合う機会を作ること。
会場に選ばれたのは、インド、ラージギルとナーランダ
ラージギルは、私がいるブッダガヤから車で2時間弱に位置する、ビハール州ののどかな街。自然が多く残り、政府が木の伐採なども禁止して景観を守っている場所で、昔のインドの風景を垣間見ることができる街です。
お釈迦様在世には、王舎城と呼ばれお釈迦様が幾度となく立ち寄り、多くの大乗経典の舞台やになった有名な場所で、多くの仏教遺跡が残っています。
- 霊鷲山
- 竹林精舎
- 阿闍世が父親を幽閉した洞窟後
- 七葉窟(第一結集が行われた場所)
など観光スポットがたくさんあります。
そして、ナーランダは、ナーランダ僧院という巨大な仏教を学ぶ大学のような僧院が存在したことで有名です。
5世紀に創建され12世紀にイスラム教徒による破壊が行われるまでの間存在し、学生は1万人以上、教師が1000人以上、蔵書が500万冊以上と伝えられています。
ナーランダ大学跡の写真でよく使われる有名な大きな建物は、舎利弗のストゥーパとして伝えられており、何度かの拡張をへて今の大きさになったようです。
今回は、大乗仏教の各国が集まり共に同じ場所でお経を唱える法要なので、大乗仏教に大変ゆかりがあるこの2カ所が選ばれました。
全日程
12月14日〜17日
12月14日 開会式 霊鷲山山頂
12月15日 中国、ベトナム、ネパール・インド コンベンションセンター
12月16日 日本、韓国 コンベンションセンター
12月17日 法話 ナーランダ大学跡
参加国
- 日本
- 中国
- ベトナム
- 韓国
- ネパール
- インド
それぞれの国が割り当てられた2時間の間法要を行っていくスタイル。
日本側は
- 日本山妙法寺
- 天台宗
- 浄土宗
- 日蓮宗
の合計15人
12月14日 オープニングセレモニー
霊鷲山山頂で行われたオープニングセレモニーには、100人以上の僧侶・信者が集い、歩く隙間がなく、隣の人と肩が触れあうほどぎゅうぎゅうに詰めた状態で行われました。
お釈迦様が実際に法話をされた場所。
多くの弟子が並び法要を聞いていた場所に、世界中から仏弟子(仏教徒)が集まっていると思うと大変考え深い時間でした。
詳しくは
12月16日 日本法要
16日、午前9時から2時間行われた日本の法要は、浄土宗→天台宗→日本山妙法寺・日蓮宗の順番で勤め上げられました。
浄土宗の阿弥陀経
天台宗の声明・般若心経
日蓮宗のお題目・法華経
別々の宗派の僧侶が、共に座り、共に同じお経の本を持ち、同じお経を唱える時間。
本で読んだことはあっても、意味は知っていても、お経を共に並んで同じ空間で唱える機会はほぼなかったので、大変嬉しく貴重な機会を頂いたと感じています。
夜は民族舞踊も
ジャルカンド州やラジャスターン州から招かれた人達が、民族舞踊を披露してくれました。
12月17日 ナーランダ大学遺跡で法話会
17日午前11時前に始まった法話会
場所は、ナーランダ大学遺跡内
多くの観光客がいる中、遺跡の中の壁に囲まれたスペースで行われました。
実際1000年以上前に僧侶達が勉強したであろうスペースに座り、上には菩提樹の木、横には舎利弗のストゥーパが見えるという贅沢な空間。
法話をされたのは
- インド
- 日本
- ベトナム
- 台湾
内容は
- 「空」
- 「達磨大師と少林寺」
- 「心の布施」
- 「玄奘三蔵について」
- 「法華経内の女人変成」
一人約30分で行われた法話は、すべて英語で行われ、「葉っぱ」を用いた例え話や、前の方が話した内容に補足を入れながら法話。
時には全員から笑いや拍手がでたり、大きくうなずく瞬間もありました。
前屈みで熱心に法話を聞く僧侶
メモをとりながら法話を聞く僧侶
ナーランダ僧院が廃れたあと、このように様々な場所から僧侶が集まり、法話会(勉強会)が開かれたのは初めてじゃないかと思います。
総括
今年、初めて行われた大乗経典読誦法要(Mahayana chanting)
世界に分かれた大乗仏教の流れが、再度聖地で集結した大法要。
各国の僧侶が集まり実際に法要を行うので、普段見る機会・参加する機会がない自国以外の法要を見て・体感できたこと、そして過去に学んだ僧侶達、そして玄奘三蔵も学ばれた場所で、法話を聞き勉強する事ができたことは、本当にありがたく感じました。
それだけでなく、法要や法話時間以外に、食事の時間などフリーな時間には、集まった国の僧侶と交流ができたこともありがたく感じます。
実際日本に留学をしていたアメリカ在住のベトナム人僧侶の方と出会い、日本での思い出を話すうちに仲良くなりました。
普段日本ではそれぞれの宗派に分かれ修行や法要を行っていますが、本来は一つだった仏教。
当たり前の事であり、そのことを強調する人もいるが、実際には分かれているのが現状です。
それは、日本だけでなく世界的にみてもそれぞれの国で仏教は独自の発展を遂げており、本やネットでその情報をえることはできますが、バラバラになっているのが現状です。
国際交流ができるようになった今の時代、実際に他国・他州の法要に参加し共に座り、共にお経を読み・場の雰囲気を感じる事、そして体験することにより、仏教の原点はどういうものなのか、そして多くの仏教徒がいて修行をしている人がいること・サンガがあり自分自身もその一部だと感じることにより、自分自身の仏教に対する想い・仏道を進む姿勢を再確認できる貴重な機会を得ることができました。
これから毎年12月14日〜17日、この大乗経典読誦法要がラージギル・ナーランダで行われます。
興味がある方は、ご連絡ください!
コメント
年末にブッダガヤの仏心寺に突然夫婦でお伺いしました、梶川と申します。
突然の訪問にも関わらず、仏教徒であるはずなのに何にも「仏教」を知らない私どもに解り易く、少ない時間でお話して頂き有難うございました。
お世辞ではなく、この歳になって初めてもう一度お話を聞きたくなった上人様でした。夫婦共々機会があれば世界のどこかでお会いしたいものです。
春までもう少しです。お身体ご自愛ください。
こんにちは。
もう日本にお着きになられましたか?
こちらこそ、お寺に訪れていただきありがとうございます。
また、大変嬉しいお言葉ありがとうございます!
少しでも「仏教」に興味を持っていただけたのであれば、幸いです。
是非、またお会いできる日を楽しみにしてます!
ブッダガヤ・神戸、どちらでも近くに来た際は、お立ち寄りください。
合掌